2020/09/02

「日本の未来を創るのは、コンテンツビジネスだ」

 
新卒で入社してから15年勤めたリクルートで、ほぼ全ての業界のお客様とお付き合いをしてきましたが、そのお客様と業界や日本の未来を議論する中で、日に日に強く思うようになったことです。もっと言うと、コンテンツビジネスしか日本の未来を救うことができない、という表現の方が正しいかもしれません。
 
コンテンツビジネスとは、モノ(=プロダクト)ではなくコト(=コンテンツ)に価値を感じるビジネスのこと。モノづくりで勝ってきたこの国が、コトづくりでも勝てるようにならない限り、国土が狭くて人口も減少し続けるこの国の国際競争力は下がり続ける一方です。
 
日本におけるコンテンツのトップランナーはアイドル、マンガ、アニメ、ゲームといったジャパニーズポップカルチャーですが、それでもまだ世界を制覇したとは言い難く、海外に向けたクールジャパン推進も思うように進んでいないのが実態だと思います。
 
なぜ思うように進まないのか。その原因の一つは、ビジネスの起点がモノづくりの時代と変わらず生産者=コンテンツホルダーにあり、ユーザー=オタクと呼ばれる人たちを起点にしていないからだと感じています。
 
1983年、オタクという言葉は生まれたその時から蔑称としての意味合いが強く、いまだに社会生活を送るにあたりオタクであることを隠して生きている人も相当数います。オタク相手のビジネスは、極論、コンテンツさえあればオタクが勝手に寄ってくるだろう、と思われている節もあります。
 
私自身、アイドルやマンガ、ゲームのオタクとしてたくさん楽しんできましたが、ヒットするものには必ずオタク心をくすぐるストーリーや仕掛けがあります。それがオタク起点であるということ、ひいてはコト作りの核心だと思っています。
 

「推す喜びに満ちあふれた世界を」

 
これはコンテンツビジネスがオタク起点で生まれ変わった時に、オタクの力が解き放たれることで好きなコンテンツを推すことが楽しくて仕方がない気持ちが世界中にいっぱい広がっている、そんな世界観をイメージしています。
 
オタクの力がきちんと解き放たれる環境や機会が提供されることで、コンテンツビジネスがより一層力強くそのマーケットを拡大して、コトづくりで勝てる日本、および国際競争力の向上につながっていくと信じています。
 
まずはその中でもアイドルというマーケットにマトを定めて、ホップスコッチを立ち上げました。ホップスコッチは日本語でいうと「けんけんぱ」。不安定な状態に支えが加わることで安定と安心が手に入れられる、そんな安定と安心を提供できる会社でありたいという思いでこの社名にしました。
 
コンテンツ優位が依然として強いこのアイドルマーケットにおいて、オタクに不安定な気持ちをもたらし、解き放つべき痛みはなんだろうか。色々と考えた結果、「卒業したアイドルを応援し続ける機会がなくなってしまうこと」と置いてみました。
 
折しもコロナ禍でエンタメビジネスが大打撃をうけ、アイドルグループも余儀なく卒業・解散を迫られる状態にあり、2010年以降拡大し続けたアイドル大量生産時代に今まさに終止符が打たれようとしています。裏を返すと、少し大袈裟ですが日本は有史以来最大のアイドル卒業時代を迎えるということになります。
 
この中において、アイドルがオタクの応援を継続して受けながら卒業後のモラトリアム、および次のキャリアを共に創りあげていくようなストーリーと仕掛けを提供できないか、と考え『IDOLISTA』を企画しました。ひとりでも多くの、そして最終的にはすべてのアイドルがオタクの力を借りて次の道を選ぶ環境を提供したいと思っています。